同人サークルと発行部数への一考察
同人ゲームの発行部数への一考察
関西同人ゲーム制作者交流会の筆者でございます。
冬コミ前になり、お忙しい日々を過ごされ、宅配搬入などもあるこの時期。
今日は同人ゲームサークルの発行部数について交流会のメンバーとの会話の中から気づいた点を書いてみたいと思います。
大前提「同人ゲーム」の場合CDやDVDの発行部数は調整できてしまう(印刷の依頼をしない場合)
同人ゲームは自前で作ってしまうことができる。という点は少し他のジャンルと異なります。
本やグッズと異なり、自分で作ったゲームをCDやDVDなどのメディアに焼いて頒布する場合は、家電量販店でCDROMやDVDROMを購入し、自宅のゲームを開発していたパソコンで焼いたり、プリンターで盤面印刷をしたりできます。そして、トールケースを買ってネット印刷でジャケットを印刷すると家で作ることができます。
また、最近はダウンロードカードが増えており、こちらも家のプリンターで印刷することができてしまいます。そのため、かなり自由に調整ができる。という点があります。
とはいえ、そんなことを聞きに来たのではない。印刷の発注をする場合にどのように部数を決めているのか。ということが聞きたいのだ。という方も多いかと思いますので、そのへんを書いていきます。
同人イベントを基準に考える。搬送という条件
我々は関西圏のサークルが中心なので、コミケのような遠方のイベントの場合には作品を運ぶ必要が出てきます。
このため、いくつか条件が出てきます。
たとえば、会場に持ち込む場合はキャリーケースの容量が条件になってきます。キャリーケースに入る冊数や個数が最大の個数になるからです。
では、キャリーケースさえ大きければいいのかというと、それを運ぶのは自分ですから自分が持ち運べる重さという条件が加味されます。
これは宅配搬入でも同じで、宅配用のダンボール箱の大きさと持ち運べる重さという条件は変わりません。
これは物理的な条件なので、そういうことを聞いているんじゃない。と言いたい気持ちはわかります。しかし重要なことなのです。
持ち運べる分量以上に準備してもそれは持ち込めない。ということはとても大切なことです。
他にもポスターやチラシ、ブースに敷く布などもありますから本数はさらに少なく考えることになります。
さらに頒布しなかった作品は持ち帰ることになり、家の一角に居座ります。このため、過大な本数の制作は控えたいところです。
同人イベントを基準に考える。出展経験のあるイベントなど経験則で考える
過去に出展したイベントでの頒布数は重要です。展示会やイベントでどのくらい頒布できたかを記録しておくのは、それ自体もあとで見返すことができて楽しいものです。
コミケのように西か東かで頒布数が変わるケースもあるので過去の記録は参考になります。是非とりましょう。
交流会でも自分が出たことのないイベントに出展したサークルさんにあのイベントってどうなの?というのは結構聞くことが多いです。
そのときに、コミケと比べてどれくらいとか、大阪だとコミトレと比べてどれくらい。みたいな会話があったりします。
そういう他サークルの情報を勘案しつつ、持っていく分量を決めます。このときも「重くないくらい」「ケースに入るだけ」みたいに決めたりします。
そしてもう一つ大切なことは「このゲームを作ったのはなんのためだったのか」ということを思い出すことが大切です。この理由は後ほど述べます。
では新刊は?
新刊を頒布するときはコミケ。というのが同人ゲームの場合は多いかと思います。最近はデジゲー博デビューなども多いかと思いますが、一応コミケを前提で考えます。
まず、コミケの場合は宅配搬入ができるので自分で当日持ち運ぶよりも多くの量を持ち込むことができます。
また、一般参加者も意欲的に作品を手に取ります。
そのため、事前の告知を行い、体験版も頒布し、ツイッターでいろいろ告知し、サークルカタログも更新し、サイトも更新し、コミケ前の同人ゲームまとめ動画へのPv投稿など十分な準備を行います。基本、コミケに出るだけでは誰も自分の作品を知らないのです。特に初参加であればまったく知られないものです。
もちろん、カタログをチェックする人はいます。筆者もチェックします。しかし、そのカタログの情報が少なすぎる、サイトもないツイッターもないとなると記憶には残りません。この告知というのは大切なのです。
また、ブースの展示もポスターを作り、テーブル用にきれいな布を敷き、タブレットでPVを流したりと、創意工夫を施し、ちょっとでも一般参加者の注目を集めるように努めます。
その上で本数を決めますが、それらをして筆者の場合は50~200の間で決定します。東ホールでお誕生日席、新刊がある場合は本数は多めにします。
では、この50~200は何で決めるのでしょうか。
物理的に200以上というのは持ち運びが非常に厳しくなります。重さがありコミケ終了後の搬出のときに対応できなくなります。
また、筆者の経験でいうとコミケでの頒布数は最大130本くらいでした。(R18です)
それはノベルゲームでノベルゲーが当時はいまより勢いもあり、十分な準備に対して反応も感じられたのでその時は200本を持ち込みました。たとえ、残ってもそれらはとらのあなとメロンブックスに卸すことができるおそらく50本ずつくらいは預かってもらえるだろう。と判断したのでおそらく完売しないであろう本数と持ち運べる本数で決定していました。この50本というのも過去のことなので今はもう少し少なくなるのではないかと思います。
最近はノベルゲーというジャンルも下火になっていることもあるのでもう少し本数を控えて新作を作ります。
交通費やホテル代も頭の中をよぎりますが、プラスマイナスゼロに持っていこうと考え出すと本数が増える傾向にありますので、あまり重要視はしないようにします。
一番大事なことである、「結局このゲームをなんのために頒布するのか?」というところを忘れてはいけないと思っています。
続けることで上達し、多くの経験を得ていくことができるのが同人制作の良いところだと我々は思っています。
同人イベントの時間経過を考える
さて、先程130本という数字を出しましたが、この本数の場合、ブース前はどういう状況になるのでしょうか。
まず、列はできません。時々軽い人だかり(3~4人くらい)はできます。
10時~16時の6時間で考えると、1時間に約20本ですので、3分に1本ペースでの頒布ですから列ができることはないわけです。
実際は10時などはシャッター前や大手に人が向かっていて暇なもので、11時半~14時半位が一般参加者がよくやってくる時間帯です。
3時間で考えますと1時間に約40本くらいなので、1~2分に1本のペースですが、あくまでも130本は最大数なのでブース前は軽い人だかり以上の混雑が起きることはありません。
時間で考えると、本数についても計算がしやすくなるのではないかと思います。
目安ではありますが、告知にあまり時間をさくことができなくて、ブースの装飾もはじめてでわからなくて、同人ゲームの場合ですと10~30というのは負担がなくていいのかなと思います。
筆者は他のジャンルでの出展経験がないので本の場合はあまりお役に立たないかもしれませんが、もし、ご質問等ありましたらお問い合わせフォームからご連絡ください。
何かの参考になればうれしいです。
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